内装材や収納などを選ぶ基準とは?
シックハウス対策の法律ができて、建材に含まれる化学物質の量はかなり減りました。それでも無しになった訳ではありません。
様々な素材について、化学物質を含むのかを、その他の特徴やコストと合わせてご紹介します。
床の仕上げ
小さなお子さんやペットのいるご家庭では、床から受ける影響が最も大きいといえます。
フローリング
床によく使われる合板と薄板の複合フローリングは化学物質を含んでいます。おすすめの無垢のフローリングは少しコストがかかりますがは、傷みにくいので長い目でみれば経済的です。
無垢材の特徴
- 杉や桧など針葉樹のフローリング
板が長く幅広で柔らかくあたたかく、節のあるものが主流です。 - ナラやカバなど広葉樹のフローリング
板が短く幅が狭く硬く冷たく、節のないものが主流です。
畳
畳は自然素材ですが、防虫剤を含むものが流通しています。
防虫剤を使わないものは、虫干しや除湿を心がけるなど日頃のケアが大切です。
塩化ビニール
洗面所やトイレでよく使われる塩ビシートは化学物質を含んでいます。工事の際に接着剤を使いますが、コルクや天然リノリウムなどの自然素材やタイルの方が安全性は高くなります。
床は節のあるパイン、天井は節のない杉。壁と天井の板は床用のものより薄いので、節がないものを手頃な価格で入手できます。
コルク床は、柔らかくあたたかいです。
風合いを残したオイル仕上げと、水をはじくウレタン仕上げのものが流通しています。
畳は、夏は涼しく冬は暖かく、クッション性があるので、床座りの部屋に適しています。
縁が無いタイプを選べば、様々なインテリアに合わせやすいですよ。
壁と天井の仕上げ
壁と天井にはビニールクロスがよく使われます。化学物質を含みますが、伸縮性があるので下地が地震の揺れなどで動いてもひび割れず、コストを抑えられるのが特徴です。ビニールの素材感が苦手な方には、水性塗装、紙クロス、左官塗り、板張りなどをおすすめしています。
各特徴
- 水性塗装
下地が動くとひび割れやすく、塗装直後は臭いますが、比較的コストを抑えられ、色を自由に作れて、継ぎ目の無い仕上がりになるのが特徴です。 - 紙クロス
和紙など素材感のあるものや美しい色柄のものなど種類が豊富で、コストもビニールとあまり変わらないものから数倍かかるものまで幅広くあります。工事の際にはのりを使いますが、素材自体は安全性の高いものが多いです。 - 左官塗り
下地からつくる本格的な左官塗りは、調湿作用もあり体に優しい仕上げです。しかしコストがかなりかかるので、よく使われるのは一般的な下地の表面に薄塗りするタイプです。
それでもある程度は調湿作用があり、安全性の高いものが多く、独特の素材感を楽しめます - 板張り
合板張りはあまりコストをかけずに木目を楽しめますが、化学物質を含みます。
無垢の板張りは存在感があるので、木の風合いが好きな方におすすめです。
お気に入りの書庫に小鳥の柄の輸入クロスを貼りました。
小さな壁なら華やかな柄を使いやすくコストも抑えられます。
壁とドアを同じ杉板張りにして、すっきり見えるようにしています。
玄関に外壁と同じ金属板を張っています。金属も安全な材料の1つですが、存在感が強いので、床は墨入りのモルタル、天井は木構造をあらわしてバランスをとっています。
建具と収納
- 建具と可動の棚や引き出しなどの収納
寸法が狂いにくいことを優先して、化学物質を含む合板などで作られることがほとんどです。システムキッチンやシステム洗面台も同様です。 - 襖
合板や段ボール下地のものが多く流通しています。木の組子に紙を重ね貼りする昔ながらの作り方をしている襖は、コストは高めですが安全です。 - 無垢の木で作られた建具
安全性が高いですが、コストがかかります。 - 固定の棚の収納
固定の棚にすれば無垢の木でつくっても反りにくいですし、節のある木を使えば、無垢でもコストも抑えられます。
コストを抑えながら建具の化学物質を減らしたい場合は、間取りを工夫したり、カーテンで代用するなど、枚数を減らすようご提案しています。
無垢の板張りの玄関ドアです。屋外に面するところは、合板を使うとすぐに傷むので、無垢の材料を使うのが一般的です。浴室のドアも同様です。
本棚の板は杉の無垢板、階段の板は無垢の木片を貼り合わせた集成材です。
その他の建材
地面から1m以内の木構造には、防蟻剤を塗ることが義務付けられています。土台と1階の柱や間柱を桧にして、壁に張る構造材を木質系ではなく鉱物系のものにすれば防蟻材を塗らなくてよくなります。コストはかかりますが、防蟻剤のコストが不要になるので、差額は小さく抑えられます。
また、防蟻材で体への負担が少ないものも流通していますが、効果もそこそこなことが多いです。
その他、内装下地の石膏ボードの継ぎ目に使うパテ、水まわりや窓ガラスまわりに使うコーキング材、木の汚れ止めに塗る塗料、断熱材なども、化学物質が含まれるものが多いです。
最後に
化学物質に敏感な体質の方には、なるべく対策をとることおすすめしていますが、化学物質を減らすためにはコストがかかったり使い勝手が悪くなったりするので、一般的には素材を様々な角度から検討して選んでいただいています。
よく換気をして、家具や防虫剤などそのほかのところで化学物質を持ち込まないなど、生活面で対策をとることも効果的です。