快適な地下室を作るには?
斜面の土地を平らに造成するにはコストがかかるので、斜面に家を建てることにしました。コンパクトな形の家ですが、それでも基礎の高低差が2m以上になるので、基礎を地下室として利用することにしました。
窓をあけて明るく気持ちよく
地下室の公園側は半分以上土の上に出ています。そこで、公園側に足元からの窓とドアをつくり、公園側の庭へ出入りできるようにしました。窓とドアの前は、地下1階の床より少し低い高さまで土を取り除いて均しています。
写真のコンクリートの外壁部分が地下室で、窓は木製にしています。明るくて庭も楽しめる、気持ちの良い地下室になりました。
夏の結露を防ぐ
地中温度は外気温よりも変動が緩やかで、東京の場合、深さ2mで最低温度になる2月が11度位、最高温度になる9月で23度位です、地下室は地中温度の影響を受けるため、夏は涼しく冬は底冷えをせず、快適な室温を保ちやすいです。一方で、地中温度の影響を受けたコンクリートに夏の高温多湿な空気が触れると結露し、そのままにしておくとカビが生えます。
そこで・・・
- コンクリートの内側に十分な断熱材を施し、室内の壁が地中温度の影響を受けにくいようにしています。
- 空気が滞留しないように、部屋の形をシンプルにしています。
- 夏は除湿を心がけて、外の空気を必要以上に入れないようにしています。
- 壁の下地に夏型結露のリスクを下げる調湿気密シート(サバーンBF)を張っています。
地下水の浸み込みを防ぐ
コンクリートは水を通しますし、コンクリートの打ち込みの際の継ぎ目もあります。そのため地下水が室内に浸入しないように対策を施す必要があります、コンクリートの外側に十分な防水処理を行う方法や、二重壁を設けて浸み込んだ水を処理する方法もありますが、いずれも工事が大がかりになりがちです。
六角形の家は斜面で地下水位が低く、地下室のうしろに斜めの空洞があり、浸み込みのリスクは比較的低いため、コストをあまりかけずに浸み込みを防ぐタケイ防水工法を採用しました。
その内容は・・・
- 水密性を高める薬剤を、コンクリートに入れています。
- 室内側からの止水処理を、継ぎ目とピーコンの穴に施しています。
- 以上が責任施工で10年保障されています。
遮音性能を生かす
木造の家の中に防音室を作るには、床・壁・天井・窓・ドアを2重構造にするなど、かなりコストがかかります。広くなるほどコストがアップするため、音楽の練習室など小さめな個室に採用されることが多いです。
地下室は広い方が割安に作ることができて、広さに関係なくまわりの土で遮音されるので、比較的広い防音室が必要な場合には地下室を作るのも合理的です。
六角形の家では、以下の対策を施して、地下室を防音室にしています。
- 隣家に面する壁は、土で遮音されています。
- 窓は公園側にあけています。遮音ガラスを用いて、音が漏れにくい嵌め殺し窓と気密性を高めたドアにしています。窓とドアが一重なので音が漏れますが、使い勝手とコストを優先して、ほどほどの性能に留めました。
- 換気口から音が漏れにくいように、ロスナイを採用して、給排気口を公園側に向けています。
- 音が反響しないように、天井を吸音板にしています。
水まわりを設ける
地下室に水まわりを設けると使いみちが広がりますが、下水道よりも低い位置にある場合は排水にポンプが必要です。一般的には排水を溜めるピットを作り、そこにポンプを設置するのですが、大掛かりな工事が必要でコストがかかります。
六角形の家には1階と2階にも水まわりがあり、地下室の水まわりが一時的に使えなくても生活に支障がありません。そこで排水を溜めるピットを作らず、排水管にポンプを直結する簡単な設備を採用しました。ポンプは手のひらに載るサイズで、コストは数万円で済みました。